【質問】民法改正部分の勉強について

修了生の松永充博と申します。

「司法試験は,試験時に施行されている法令に基づいて出題する。」
との司法試験委員会の決定があることは存じております。
しかし、最新の六法には改正法も掲載され、
条文を確認する度、教科書の記述と異なることが気になります。
たとえば、
現行法95条にいう「法律行為の要素」の文言が
「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」
と改められたことや、
現行法93条ただし書の類推適用についての判例の考え方が、
改正法107条に明文化されたりしたことについて、
どのような態度で勉強に臨むべきでしょうか?

条文の根拠や解釈について理解しなくてもよいとは思っておりませんが、
出題の可能性を含め、これまでの受験生はどう対処してきたのか、
現在の受験生はどのように考えているのか、参考にさせていただければ幸いです。

よろしくお願い致します。

「【質問】民法改正部分の勉強について」への3件のフィードバック

  1. 法律が改正されたものの施行までには時間があり,受験の際は改正法ではなく,現行法という時期の勉強方法は,昔から悩ましい問題です。民事訴訟法,商法改正,会社法改正の際に,度々,受験に際してどうする?と受験生仲間で問題となってきました。今回は,「民法」ですからより悩ましいと思います。

    今回の民法改正は,大雑把に言えば,①従来は判例準則であり明文化されていなかったもので異論を見ないものを成文化,②民法理論の深化に伴い条文や解釈に疑義が出てきたものを改正,③現代取引社会の実情に合わなくなったものや政策的な改正という具合に分類できるのかなと思います。

    理想論では,
    ①は現行法(判例法理を含む。)と変わらないわけですから,対応できてきているはずで,改正民法の条文を確認し,どのような文言でそれを表しているのかを押さえればよい。②は教科書ベースで勉強している場合には,問題点として指摘されている箇所が多いですから,これもよほど古い教科書を使っていない限り,すんなりと頭に入ると思います(瑕疵担保の法的性質や債権譲渡禁止特約の法的性質など)。教科書の問題意識と現行民法での解釈,それを改正民法では,どのような理論,立場を取り,条文をどう変えたのかを理解する。
    ③が,皆さんにとって厄介な問題で,改正民法は新たな規制を設けたところですので,現行民法では空白か,解釈に委ねられている領域です。

    このことからも分かるかと思いますが,試験という観点からすれば,①と②は今の勉強がそのまま活きるところですので,現行民法の最新の教科書(既に改正民法対応もあるので注意。)を丁寧に勉強し,都度,対応する改正民法の条文を新旧対照表などで確認しておけば,十分に対応できると思います。③は,試験時には施行されておらず条文がない箇所ですから,なぜそのような条文が設けられることになったのかという問題意識を吸収し,現行民法ではどうだろうかを考えておくことが対策になります。

    あくまで理想論ですので,限られた時間では難しいかもしれません。

    実践としては,
    改正と言っても,改正民法は,現行民法から切り離された,連続性のない改正ではありません。現行民法がベースとなるものです。
    したがって,まずは現行民法(判例法理を含む。)をしっかりと理解することに注力する。余裕があれば,法律雑誌などの民法改正特集を読み,概要と大きく変わるところを押さえるというのが限度ではないでしょうか。

    最後に,出題可能性と当時の受験生の対応ですが,まず,都市伝説レベルであり検証はされていませんことご容赦くださいと予防線を張っておきます。
    当時の受験生(古い話ですが。)は,法案が通るまでは改正法案の改正理由や趣旨としてあげられている問題は,現行法の問題点なので,その問題意識が出題される可能性があるので,問題意識は共有しておく。他方,法案が成立してしまえば,決着がついた(方向性が示された。)ということで,その問題意識を問う出題の可能性は低いと噂していました。

    当たるも八卦,当たらぬも八卦ということになってしまいますが,上記の①と②は現行法でも問題なっているわけですから,現行法ベースできちんと理解しておくことが必要です。上記③は出題可能性は,①②より優先度は低いが,万が一,その問題意識が出題された場合の対応を考えて,改正の趣旨だけはフォローしておくということかなと思います。

    ご参考になれば幸いです。

    会社法改正にぶち当たったアドバイザーの先生方は,いかがでしたでしょうか?フォローをよろしくお願いします。

    長文失礼しました。

  2. 川上先生の意見に同意です。改正によって考え方が変わったということはないので、さほど特別な勉強は必要ではなく、現行民法をきちんと物にするという方針が良いでしょう。
    ③の部分は、今回の改正で言えば、時効、債権譲渡、債権者代位権、詐害行為取消権、保証などの改正がそれにあたりますが、基本的にはこれまでの議論されている問題意識を頭の片隅に置いておいて、あとは試験の現場で当事者の立場に立って考える、ということです。

  3. Kawakami様、杉井様、ご返信ありがとうございます。

    噂について、私も、決着のついたものについてどれだけ反対説を含めて理解するべきか迷っておりました。

    改正前の法律についての最新の教科書で、現行民法をきちんと理解しておく。そして、改正の趣旨だけは理解しておき、あとは試験の現場で当事者の立場に立って考える。このような心構えで準備しておきたいと思います。

    ご丁寧にご説明いただきありがとうございます。

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